千葉大学情報・データサイエンス学部長 塩田 茂雄
SHIGEO SHIODA
情報・データサイエンス学部の学部長を務めております、塩田茂雄と申します。情報・データサイエンス学部は、2024年4月に発足した千葉大学で一番新しい学部です。教員は、工学部情報工学コースを中心に、工学部デザインコース、国際教養学部、看護学研究科、そして学外の医療系研究者の方々をお迎えして構成されています。同時に、博士後期課程に相当する「情報・データサイエンス学府」も新たに設置されました。
データサイエンスとは、統計学や機械学習などの手法を用いて膨大なデータから価値ある知見を導き出し、社会課題やビジネス上の問題解決に活かす学問です。その実現には、プログラミング、アルゴリズム、データベース、画像工学、情報通信などに代表される情報工学的技術が不可欠です。従来、工学部情報工学コースでは、情報工学技術の教育に加えて、統計学や機械学習といったデータサイエンスの基礎教育を行ってきました。本学部では、これに加え、データサイエンスの社会応用に関する教育プログラムを体系的に整備し、データサイエンスとそれを支える情報工学技術の双方に精通した人材の育成を目指しています。
近年、社会のあらゆる分野でデータ活用が進み、データサイエンスは大きな注目を集めています。多くの大学がデータサイエンス系学部を設置する中で、千葉大学情報・データサイエンス学部は、卒業時に学士(工学)の学位が授与される工学系の学部である点に特徴があります。文理融合型が主流の中で、工学的基盤を重視していることが本学部の大きな強みです。
情報・データサイエンス学部の入学定員は100名で、一般選抜(前期日程)70名、学校推薦型選抜30名の構成です。さらに、学校推薦型選抜のうち15名分を女子枠として設定しています。これは、柔軟な思考力と高いコミュニケーション能力を備えた女性データサイエンス人材の育成を目的としたものです。この制度により、2025年度は12名の女子学生が学校推薦型選抜で入学し、一般選抜を含めた入学生103名のうち26名が女子学生でした。女子学生比率は25%を超え、授業等ではこれまでの情報工学コースとは異なる、華やいだ雰囲気が感じられます。なお、2025年度入試の一般選抜倍率は5.6倍と高い水準を維持しています。今後、高校生人口の減少が見込まれる中でも、引き続き意欲ある学生が入学してくれることを期待しています。
情報・データサイエンス学部は、50代以上の教員と40代以下の教員がほぼ同数であり、比較的年齢構成のバランスが取れています。ここでは、近年活躍の著しい若手教員を何名か紹介します。まず、計良宥志先生は2024年4月より国際高等研究基幹(IAAR)の所属となり、准教授に昇任されました。IAAR所属はグエン・キエン先生に続いて2人目です。計良先生はIAAR所属後も、引き続き本学部および工学部情報工学コースにおいて教育・研究活動を継続されています。さらに、同先生の研究提案がJST「次世代AI人材育成プログラム(若手研究者支援)」に採択され、2025年10月からは国立情報学研究所とのクロスアポイント契約のもと、両機関で研究を推進される予定です。また、JST「創発的研究支援事業」の2024年度採択課題として田中緑准教授の提案が、JST「戦略的創造研究推進事業(ACT-X)」の2025年度採択課題として石坂晴奈助教の提案がそれぞれ選ばれました。本学部の若手教員のこのような活躍は、大変心強い限りです。
なお、工学部情報工学コースは学生募集を停止していますが、在籍学生は引き続き同コースで学んでいます。2025年度の情報工学コース4年生のうち、半数を超える学生が、来年3月の卒業後に融合理工学府の情報科学コースまたはイメージング科学コースへ進学する見込みです。3年生についても同様の進学経路が用意されています。一方、情報・データサイエンス学部の学生が円滑に大学院へ進学できるよう、情報・データサイエンス学府博士前期課程の2028年度開設を目指しています。
今後とも、千葉大学情報・データサイエンス学部へのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
[本会より補足]千葉大学では、令和6年4月に、工学部総合工学科情報工学コースが独立する形で、新たに情報・データサイエンス学部が開設されました。このような経緯から、令和6年6月の同窓会会則の改正により、情報・データサイエンス学部長が本会の名誉副会長に推戴されることとなりました。